毎年違ったテーマを設け、それぞれの角度から中原中也の世界をより深く追求していきます。
【会期】2024年2月15日(木)~2025年2月11日(火・祝)
中原中也の詩の中には、「空」が多く登場します。空に向けて自らの思いを懺悔したり、神を呼んだり、自己の苦しみを嘆くなど、中也にとって「空」とは、人知を超えた、崇高なものの象徴でした。
また、中也は自然現象に自らの心情を重ねて表現することが多く、天候や時の流れとともに、「青空」「曇天」「茜の空」「紺青の空」など、表情豊かな空の情景が表現されています。「空」には、死者の魂や精霊、「黒い旗」などのイメージが重ねられ、詩的なイマジネーションの源でもありました。
本展では、中也の詩の重要なモチーフである「空」について、様々な視点から紹介します。
【会期】2023年2月15日(水)~2024年2月12日(月・祝)
中原中也の第一詩集にして、生前唯一の詩集でもある『山羊の歌』。200部限定出版という、比較的少部数の出版でしたが、小林秀雄、河上徹太郎、草野心平らが高く評価し、詩人・中原中也の名を広く知らしめる本となりました。
『山羊の歌』収録詩には、「サーカス」や「汚れつちまつた悲しみに……」など、中也の代表作といわれるものも多く、今も多くの読者を魅了し続けています。
本展では、刊行までの紆余曲折、収録詩の解説、刊行後の読者の反応など、さまざまな視点から『山羊の歌』を紹介します。
【会期】2022年2月16日(水)~2023年2月12日(日)
中原中也は読書家でした。中也の本棚にはどんな本が並んでいたのでしょうか? 2016年のテーマ展示「中也の本棚――外国文学篇」に続き、今回は日本文学に焦点を当てます。 中也の蔵書の多くは失われていますが、日記や書簡には読書についての記述が多数残され、中也が読んでいた本を知ることができます。中也は高橋新吉、宮沢賢治、佐藤春夫などを愛読し、詩のほかにも幅広いジャンルの本を読んでいました。その読書体験は、中也が詩人として成長していく道のりを支えていたもののひとつであるといえるでしょう。 本展では、中也が読んだ本、中也による書評などを通じ、中也が受けた文学的影響や同時代の文学について紹介します。
【会期】2021年2月17日(水)~2022年2月13日(日)
中原中也にはたくさんの友人がいました。互いの文学観や芸術観をぶつけ合う仲間もいれば、ともに生活をしたり旅行したりする気の置けない友もいました。 酒の席で激しく喧嘩したり、「訪問魔」といわれるほど頻繁に家に押しかけるなど、友人たちを困惑させることも多かった中也ですが、一方では、非常に礼儀正しく、繊細な一面も持っていました。そんな中也の姿を、多くの友人たちが印象的に語っています。また、中也の詩の紹介に尽力したのも、友人たちでした。 寂しがり屋で、常に友人を求め、相手とより深く理解し合いたいと願っていた中也。 本展では、様々な友人たちとの関係を紹介しながら、中也にとって「友情」とは何かを探ります。
【会期】2020年2月14日(金)~2021年2月14日(日)
中原中也の詩は、中学校・高等学校の国語教科書に採用されることが多く、教科書で出会ったという方も少なくないと思います。本展では、教科書に掲載された中也の詩を中心に、中也の詩の魅力や豊かさに迫ります。 「一つのメルヘン」「月夜の浜辺」など、いわゆる「定番教材」として広く知られている作品はもちろん、これまで1~2回しか掲載されていない作品から隠れた名作をピックアップして紹介します。また、教科書に採用されたことはないけれど、教科書に載せたら面白いのではないかと思う詩を紹介します。 教科書で中也の詩を読んだという人はもちろん、初めて読むという人も、それぞれの楽しみや発見がある展示です。
【会期】2019年2月20日(水)~2020年2月11日(火・祝)
中原中也は生涯に360篇ほどの詩を作りましたが、そのなかには季節に触れたものが数多くあります。そこで中也がうたったのは、四季それぞれが持つ風情と、それによってわきあがるさまざまな感情でした。生きることと詩作が強く結びついていた中也にとって、その時々の季節の感触は、詩にうたう思いを生き生きと伝える上で重要な要素であったといえるでしょう。 本展では、季節にかかわる中也の作品を集め、あわせて書簡などからわかる季節ごとの中也の暮らしぶりを紹介します。詩集をめくるように四季の詩を楽しみながら、あなたの心に響く言葉を見つけてください。
【会期】平成30年2月15日(木)~平成31年2月17日(日)
中原中也は、昼に起床し、深夜まで街中を歩き続け、帰宅したのち本を読んだり詩を書いたりする生活を送っていました。部屋にこもるのではなく、街をあてもなく歩きまわり、歩きながら世界を肌で感じ、そこから作品を生み出していったのです。
その身体性は詩に生き生きとした躍動感を与え、歩くことをテーマにした魅力的な作品へと結実していきました。その背景には、中也が好んだフランスの詩人・ランボーの作品の影響があると言われています。
本展では、中也が歩いた当時の街並みなども紹介しながら「歩く」という行為と詩作の関係に迫ります。
【会期】平成29年2月15日(水)~平成30年2月12日(月・祝)
没後80年を経ても、なお読み継がれている中原中也の詩。多くの人に愛されるその魅力についてあらためて問い直します。
中也の詩に親しむアーティストの方々が詩を一篇選び、コメントをお寄せくださいました。それらを詩とともに紹介します。また、2015年に刊行された『出会い? 発見?! 感動!! 中也読本』より、中学生が選んだ中也の詩を感想とともに展示します。さらには、中也の友人や、同じ時代を生きた文学者たちが、中也の詩をどう読んだのかについてもご覧いただけます。
人それぞれの感性を通じて、中也の詩のさまざまな魅力に触れることができる展示です。
【会期】平成28年2月24日(水)~平成29年2月12日(日)
中原中也は中学時代、友人の詩人・富永太郎からフランス象徴詩を学びます。その世界に強い影響を受けた中也は、東京外国語学校などでフランス語を習得し、3冊のランボー翻訳詩集を刊行するなど、終生、フランス文学に強い関心を持ち続けました。
また、中也はそのほかにも、ロシア、ドイツ、イギリス文学などの多様な外国文学を読み、詩人としての文学的素養を育んでいきました。読書家の中也が残した日記や手紙には、読んだ本のタイトルや感想が数多く記されています。
本展では、中也が読んだ本を通じて、中也と外国文学の関わりについて紹介します。
【会期】平成27年2月18日(水)~平成28年2月21日(日)
祈りをテーマとした中也の詩は、心の奥深いところに響く魅力があります。崇高な何ものかに対し、心の弱さを打ち明け、今あることに感謝し、志を述べる……。その言葉は真っ直ぐに私たちの胸まで届き、特定の宗教の枠に留まらない普遍的な祈りの心を呼び覚まします。
本展では、中也の祈りの詩を、《うやまう》《もとめる》《いつくしむ》《こころざす》という4つの主題に分類し、直筆原稿や日記、詩の初出雑誌や収録詩集などの資料とともに紹介します。
【会期】平成26年2月16日(日)~平成27年2月15日(日)
中也は、恋人や家族をどのようにいとおしみ、作品に描いていたのでしょうか。
女優・長谷川泰子をめぐる出会いと別れは、作品へと昇華され、「時こそ今は……」や「盲目の秋」など、魅力的な恋愛詩をたくさん生み出しました。一方で、幼い息子を深く愛し、書簡や日記などからは、妻・孝子や母・フクに対する細い心配りが感じられ、家族に対する中也の愛情深い一面が見て取れます。
本展では、中也の作品や書簡などに表れる、さまざまな「愛」の表現を紹介します。
【会期】平成25年2月21日(木)~8月25日(日)
中原中也は自らの詩集を『山羊の歌』『在りし日の歌』と名付けたように、"うた"を強く意識した詩人でした。中也の詩には、たくさんの"うた(歌、唄)"という言葉があらわれます。
中也は音楽を愛し、童謡、唱歌、西洋音楽、流行歌、民謡といった様々なジャンルの"うた"を敏感に受け止め、作品へと昇華させました。中也の詩の持つ口ずさみやすさや独特のリズムは、中也が詩を"うた"としてかたちづくろうとした証しであるともいえます。
本展では、中也と音楽との関わりを紹介しながら、中也が追い求めた"うた"とは何かを探ります。
【会期】平成24年2月15日(水)~平成25年2月18日(月)
※特別企画展開催期間は除く
昭和12年9月、中也は第二詩集『在りし日の歌』の編集を終え、原稿を友人の小林秀雄に託しました。そして故郷・山口に帰ろうとしましたが、その翌月、結核性脳膜炎を発病し、詩集の刊行を待たずに息を引き取りました。半年後の昭和13年4月、遺された詩集の原稿をもとに、友人たちの手によって詩集は刊行されました。
詩集に収められた作品は58篇。その中には「骨」「一つのメルヘン」「正午」などの有名な詩や、山口ゆかりの詩「冬の長門峡」が入っています。
本展では、「春」「六月の雨」「冬の長門峡」など、詩集収録詩を直筆原稿で展示し、その魅力を紹介します。また、刊行までのみちのりをたどりつつ、中也が「在りし日」という言葉にこめた思いを探ります。
【会期】平成23年2月16日(水)~平成24年2月12日(日)
故郷への思いは、誰もが持つものです。生まれ育った土地は、幼い頃の思い出とともに特別な場所となります。
中原中也も故郷に特別な思いを抱いていました。本州の西端・山口で、医家である中原家の長男として生まれた中也。湯田温泉という遊楽街であるために、外で遊ぶことを禁じられたり、神童と言われるほど、成績優秀であったのに、文学に夢中になって中学3年で落第したり…。
中也の残した作品に郷土色を見つけるのは容易ではありませんが、大内文化が栄え、毛利家が支配し、明治維新に深く関わったこの土地の影響は、どこかしらにあるのではないでしょうか。
山口は、中也が少年期を過ごし、飛び立つ思いで離れた後も、強く懐かしみ、晩年には移り住もうとしていた場所です。中也の故郷と、故郷への思いと、その思いが込められた詩をご紹介します。
【会期】平成22年2月10日(水)~平成23年2月13日(日)
中原中也は詩人としての生涯のなかで、『山羊の歌』(昭和9年)、『在りし日の歌』(昭和13年)という2冊の詩集を残しました。そのうち、中也が自らの手で出版したのは『山羊の歌』1冊だけです。
第一詩集『山羊の歌』が世に出たのは、中也が27歳のときでした。中也は初の詩集刊行に向けて、並々ならぬこだわりをもって編集にあたります。しかしその想いとは裏腹に、刊行までの道のりは順風満帆とはいきませんでした。
このたびの展示では、生前唯一の詩集『山羊の歌』が刊行にいたるまでの道のりをご紹介します。
【会期】平成21年2月18日(水)~平成22年2月7日(日)
哀悼とは人の死を悼み哀しむことですが、中也の詩にとって、それはとても重要な意味を持っています。
私たちは生きていく中で、様々なかたちで他者の死と向き合います。中也も、7歳にして次弟の亜郎を喪〈うし〉なって以来、様々な人々の死に直面しましたが、彼は、他者の死がもたらす喪失感を、詩人として作品に昇華していきます。それらの詩は、私たちの心の奥底を揺り動かし、深い感銘を与えます。
この展示では、中也が身近な人々の死をどのように受け止め、そこから、どのような詩が生み出されたのかを中心にご紹介します。
【会期】平成20年2月21日(木)~平成21年2月15日(日)
中也は友達とどのようにつきあっていたのでしょう。
はがきと切手を持ち歩き、街角から友達へ手紙を出していた中也。また、見込んだ友達の近くに引越し、朝も夜も訪ねた中也。そんな中也から逃げ出してしまう者もいましたし、中也を理解し支えた者もいます。
友達、仲間、友人、親友…違う呼び方があるように、友情にも様々なかたちがあります。
友情―確かなような不確かなような、家族とも男女のものとも異なる愛情。
このテーマ展示では、中也がどのように友達とつきあい、友情を結んだかをご紹介します。
人と人との関係がゆらぎがちな時代。もう一度、中也の頃の友情を思い返して下さい。
【会期】平成19年2月16日(金)~平成20年2月17日(日)
詩人中原中也とフランス文学との関わりは、京都時代に富永太郎を通じて知ったランボーら象徴派の詩人に始まり、上京後の小林秀雄らを中心とする交友圏の中で広がりと深まりを見せました。その成果は『ランボオ詩集』などの翻訳ばかりでなく、中也自身の詩作にも深い影響を与えています。
この度の展示では、中也が原典としたフランス詩の原書や翻訳草稿などを通じて、中也とフランス文学との関わりを紹介するとともに、中也が憧れ続けたフランスの地で2005年に刊行されたフランス語訳『中原中也詩集』の世界を紹介します。
【会期】平成18年2月18日(土)~平成19年2月12日(月・振休)
詩人中原中也が生まれ、6歳から15歳までを過ごした山口。その後、京都、東京と移り住み、鎌倉で亡くなった中也でしたが、最晩年には山口に戻ることを考えていました。
故郷に対する愛着と反発を歌った中也、その詩に表れた様々なイメージの中には山口の風土が源泉として生きています。中也が過ごした時代の山口を写真などの資料で再現しながら、中也の詩と山口の風土との関係を紹介します。
【会期】平成17年2月18日(金)~平成18年2月15日(水)
本年度のテーマは「祈り―中也の宗教性」です。中也の詩の中には、「羊の歌」第一章の「祈り」に代表されるような祈りをテーマにした詩がいくつもみられます。生涯にわたって特定の信仰をもたなかった中也ですが、そこには最も素朴で根源的な祈りの心が溢れています。中也は何に対して、どんなことを祈ったのか、草稿や関連する中也の愛読書の展示を通じて、その本質に迫ります。
【会期】平成17年2月18日(金)~平成18年2月15日(水)
平成16年度のテーマは「中也 愛の詩―長谷川泰子をめぐって」です。中也にとって永遠の女性であった長谷川泰子との出会いと別れ、それによって中也の愛をテーマにした詩がどのように変遷していったかをたどります。また、中也や小林秀雄との関係だけで語られがちな長谷川泰子という女性の実像も紹介します。