【終了】~2/27 特別展示 谷崎潤一郎宛 中原中也署名入り『山羊の歌』
2022年2月16日(水)~2月27日(日)
特別展示 谷崎潤一郎宛 中原中也直筆献呈署名入り『山羊の歌』
谷崎潤一郎宛中原中也献呈署名入り『山羊の歌』(限定番号第18部)が大阪府豊中市在住の吉田弘孝氏より寄贈されましたので、上記の期間、特別に展示いたします。
これまで存在を知られていなかった新発見資料であり、このたびの展示が初公開となります。
中原中也『山羊の歌』
中原中也の第一詩集であり、中也の生前に刊行された唯一の詩集。詩44篇を収録。限定200部(うち市販150部)。装幀は詩人の高村光太郎。版元は文圃堂書店。定価は3円50銭。
谷崎 潤一郎(たにざき じゅんいちろう)(1886―1965)
谷崎潤一郎は、「刺青(しせい)」「痴人(ちじん)の愛」「細雪(ささめゆき)」などの小説で知られる文豪で、『山羊の歌』刊行当時は現在の兵庫県芦屋市に在住、『春琴抄(しゅんきんしょう)』『文章読本』などで広汎な読者を獲得していた流行作家でもありました。
寄贈された吉田氏によれば、昭和30年代前半に大阪の古書店で購入。その際の店主の話によると、谷崎が京都下鴨の潺湲(せんかん)亭を引き払って熱海に転居した際に処分した蔵書の中にあったものということです。谷崎の潺湲亭売却は昭和31年12月8日ですので、その時期まで谷崎の元にあったと推測されます。
限定番号
これまで存在を知られていなかった資料であり、中也が谷崎に『山羊の歌』を贈呈していたことが初めて明らかになりました。奥付の限定番号18に着目すると、その前後に哲学者の谷川徹三宛(16)、フランス文学者の中島健蔵宛(19)、作家の志賀直哉宛(20)があることが確認されており、限定番号と贈呈先との関連も注目されます。